節税は、法律で認められた範囲内で、税負担を軽減する行為です。
一方、不正に税金の負担を逃れようとする行為は、脱税とみなされます。
節税と脱税は似て非なるものです。節税は、法律で定められたルールにのっとり税負担の軽減を
図ることであり、国民の権利です。一方、脱税は「偽りまたは不正」という要素を持ち、法律に
違反する犯罪行為です。
仮に、法人税の申告に誤りがあった場合でも、ケアレスミスや税法解釈の善意の誤解などであれば
脱税とは区別され、適正に修正すれば重大な問題にはならないことが多いです。ただし、知らなか
ったでは済まされない場合もあります。悪意がなくても結果的に不正な申告とみなされればペナル
ティの対象となる可能性があります。なお、売上の除外や架空経費の計上、帳簿の改ざん、請求書
や領収書の偽造、取引の意図的な隠ぺいなどは、税務当局を欺くウソであり、明確な違法行為といえるでしょう。
脱税とみなされた場合、過少申告加算税に加えて重加算税が課され、さらには延滞税も生じます。
また、税務署から重点管理の対象とされる(ブラックリスト)など、社会的信用を大きく損なうことになり、脱税額が多額に及ぶ場合には、
刑事責任を問われる可能性が高くなります。
【ケース・スタディ】どこまでが節税で、どこからが脱税か
① 決算3ヶ月前の予測で計画よりも利益が増えそうだとわかった社長は、ウェブサイトのリニューアルを外部の制作会社に依頼した。
決算日までに成果物が納品され、支払った制作費は当期の経費として計上した。
⇒ 必要な業務委託を実施し実態のある取引に基づいて計上した正当な経費であり、合法的な節税といえます。
② 決算間際に利益が大きく出そうになった社長は、税負担を減らしたいと考え、翌期分として契約したコンサルティング業務について、
契約書の日付を当期にさかのぼって書き換え、当期の経費として計上した。
⇒ 委託契約の日付を意図的に改ざんして損金の計上時期をごまかしているため、脱税をみなされます。
このように、事実に基づき適正に処理するか、書類を操作して事実を歪めるかで、節税を脱税の境界は明確に分かれます。
税理士 鍋谷尚志